雨期の空はうつろいやすい。真っ青な空に、重くたれ込めた雲が広がり始める。
6月26日の午後遅く、グァテマラ・チマルテナンゴ県のコマパラ村では、そろそろ発掘作業を終わりにしようという雰囲気が漂い始めていた。そんな時、薬莢が一つ見つかった。ロサリーナ・トゥユク(48歳)は、自ら鍬を手にし、穴の前に立った。ここでの発掘調査に残された時間はあと一週間しかない。彼女はいつものように表情一つ変えることなく、鍬を土に当て始めた。
ぼろぼろになった靴、少し触れるだけで形が崩れるビニール袋が出てくる。発掘を見守る者たちは、もしやと期待する。しかし、遺体は出てこなかった。
「マル・スゥエルテ!(ついてないな)」
法医学チームの男がつぶやいた。落胆のため息が漏れる。それを合図に、その日の作業が終了した。
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