7月6日、中米グアテマラの首都グアテマラシティーの空は青かった。
中央公園に面する国家宮殿の二階広間は、先住民族の人びとで埋まった。彼らはこの日、彼らの代表であるロサリーナ・トゥユク氏が「国家賠償委員会」の議長に就任するのを見届けようと全国から集まってきたのだ。
グアテマラの「内戦」は96年12月に終結。内戦の犠牲者は20万人を超え、 その多くは人口の6割を占める先住民族であった。目に見える戦闘は終わった。だが、内戦中にグアテマラ社会に残した傷跡は、今も
癒えていない。
内戦終結時に、政府と反政府側との間で交わした「和平合意」のうち、軍・治安警察の解体、ゲリラの武装解除は進んだ。だが、経済的・社会的な課題は残ったままであった。
軍部は内戦時、各地方で自警団を組織した。その組織を使って、政府に反対する者を監視し・虐殺に荷担させた。村人は強制的にその自警団に参加させられた。参加しなければゲリラのシンパと疑われ、参加すれば同じ共同体のインディヘナを抑えつける役割を担ってしまう。内戦中、インディヘナの共同体社会は引き裂かれた。
ポルティージョ前政権時、内戦の加害者側であった元自警団員への賠償が始まる。「共産ゲリラから国を守った、命をかけて国に奉仕したのだ」という要求に従ったのだ。その一方、被害者に対する補償の約束は反故にされたままであった。
今年3月に発足したベルシェ政権は、「和平合意」を進める意図を発表。その中に被害者に対する「国家補償計画」も含まれていた。その計画を進めるために「委員会」が設置され、コナビグア(連れ合いを奪われた女性たちの会)の代表であるロサリーナ氏が議長として就任することに決まった。
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