初めてカメラを持ってパチリ
『毎日小学生新聞』5月2日(日)
-難民キャンプで暮らすビルマのカレン族-
「自由に写真を撮ってね」。そう言われて、
生まれて初めてカメラを持った子供たち5
人は、緊張感で顔がこわばっていました。
テレビや新聞、ましてやプリクラなんてない
ジャングルの中で生活しているから無理も
ありません。ここは、外の世界とつながり
は、短波ラジオだけが頼りというところです。
タイとビルマ(ミャンマー)の国境には、
ビルマ国内の戦争から逃げてきた人たちが
作り上げた「難民キャンプ」がたくさんあ
ります。そこには、およそ十万人のカレン
民族の人たちが、不便な暮らしを続けてい
る。
難民キャンプは、町に近い所にも、そう
でないところにもあります。私は、最も山
奥にある難民キャンプを毎年訪れ、そこで
生きる人たちの生活を撮影しつづけていま
す。
ある日、私の泊まっている家にリリポー
という十五歳の女の子が、英語を話すおば
さんと一緒にやってきました。リリポーは、
カメラを渡した子どものうちの一人です。
突然の訪問に、私はびっくりしました。
恥ずかしがりやの多いカレンの子どもには
珍しいことだからです。 リリポーは早速、
おばさんを通して日本のことをたずね始め
ました。
「日本の子どもたちは、学校ではどんなこ
とを勉強しているの。何をして遊んでいる
の」。好奇心いっぱいです。
日本から持っていった写真を見せると、
その写真に食い入るように見入っていまし
た。そこには日本の子どもたちの遠足風景
が写っていたからです。
ロウソクの光のもと、リリポーとの話は、
夜遅くまで続きました。
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