プルトニウム
プルトニウム二九〇キロは 殺りくの火薬で
はないのか
殺りくの 火薬は 兵士に 市民と 子どもたちと 病弱な老人
に まっさきに 撒かれるのではないのか
東京湾に入ってくる 戦争の兵器と
無感覚な 東京都民の 飽食と 享楽と 性
の 宴は
プルトニウムとともに 爆発する 殺りくの
火薬では ないのか
遠からず
東京の空には 殺りくの灰が 覆うこととなり
地上には 亡骸が 山となすであろうし
海上には 無人船が 浮かんでいるであろう
し
きみの 友人たちは 戦場へと 駆り立てら
れるだろうし
きみの 隣人たちは 戦争のため 弾薬を運
ぶことになろう
プルトニウム二九〇キロは 殺りくの火薬で
はないのか
きみたちの 平和憲法と
きみたちの 平和擁護は
宣戦を 布告する 文書となろう
その日に
きみたちの 悲しみは 銃剣の前で跪く降伏
となるであろうし
きみたちの 呻吟は 核兵器の前で 妥協す
る 逃亡となるであろうし
きみたちの 慟哭は 血の海のただ中で踊
る 喜びとなるであろうし
プルトニウム二九〇キロは 殺りくの火薬で
はないのか
東京の地下は 戦火に燃え 灰と化するであろ
う
東京のビルは 戦火に燃え 灰とかするであろ
う
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