■ (序文)「 キャパが遺したもの」 −スタイン・ベック
「 例えば、戦争そのものを写すことは不可能であることを、彼は知っていた」(P4)
「彼が教えた一番大切なものは、彼等の芸術を尊敬し、しかも、その芸術を創りあげる一つ一つの過程 − 生活の総てを、おろそかにしてはならない事を教えたのであった。
彼は若い人々に、人間はそのように生くべきであり、又、それだけが真実であることを、身をもって証明した 」(P5)
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「 ・・・・・。私は自分を嫌悪し、この職業を憎んだ。だいたい、この種の写真は葬儀屋の仕事だ 」
「 報道写真家でありながら同時に、優しい心を失わないでいることの難しさについて自問自答してみた。 怪我したり、殺されたりしている場面抜きで、ただのんびりと飛行場のまわりに座っているだけの写真では、ひとびとに、真実とへだたった印象を与えるだろう。
死んだり、傷ついたりした場面こそ、戦争の真実を人々に訴えるものである。だから、私が湿っぽい気持ちにならないうちに、一本・・・」
(P5)
「私はあらゆる角度のから写真をとった。 砂塵の写真、砲煙の写真、 将軍の写真、 といったように。 けれども、私の感じた、またこの肉眼で捉えた戦闘のあの緊張や劇的な場面を、
真に撮し得たものは一つとしてなかった 」 (P70)
「 ・・・・・。そして私は確かに素晴らしい写真をとり得たと思った。それらの写真は、単純なものであったが、戦闘というものは実際はいかに陰鬱で、また目だたないものであるかを如実に示すものであった。
”特種”というのは、幸運に加えるに迅速な輸送に依存し、しかもそれらのうち、たいていのものは、印刷された次の日にはもう無意味となってしまうものである
」 ( P103 )
「 私のカメラのファインダーのなかの数千の顔、顔、顔はだんだんぼやけていって、そのファインダーは私の涙で濡れ放題になった
」 ( P181 )
「この戦争の最終的な銃を射撃する最後の兵士は、この戦争勃発に最初に銃を撃った兵士と何らの違いも見い出せなかった。 その写真がニューヨークに着いても、普通の兵士がなんの変哲もない銃を射撃している画面と、誰ひとりふり向きもしないであろう
」 ( P220 )
「 ・・・・・。 この最後の日、もっとも勇敢なる兵士の数人がなおも死んでいくであろう。 生き残っていくものは、死んでゆく彼らをすぐ忘れるのであろうか
」( P221 )
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